PCT国際出願の提出

PCT国際出願の提出

 今週新たなPCT国際出願を特許庁に提出しました。

 このPCT国際出願は、和文PCT出願であって(日本特許庁で審査される)、移行予定国としては、日本、アメリカ、中国、(可能なら)欧州などです。今月中にあと一件PCT国際出願をすると思います。

 弊所では、特徴のところにも色々と書いてアピールしておりますが、外国案件に強みがあります。日々、最新の外国知財法に対応すべく現地代理人に質疑をしたり、現地に行ったり、研修会に参加したりと努力を惜しんでおりません。
 従いまして、外国特許出願などをお考えのお客様がおられましたら是非一度使っていただけるとありがたいです。

 また、外国知財法に関連してですが、先日JETRO開催の東南アジアの知財概況に参加させて頂きました。その内容が非常に興味深く、面白かったので、備忘録のために数点を書き残したいと思います。

 (1)日本企業の直接投資は、完全に中国からアセアンにシフト済(2015年度中国8,405億、アセアン約2兆)だそうです。
 現在アセアンへの日本企業の特許出願数は年一万件を超えて、今後も出願数の増加が見込まれており、直ぐにでも欧州での日本企業の特許出願数を抜くそうです。ビジネスチャンスかもしれません。
 日本企業のアセアンにおける商標出願数は年1万件を超えていますが、アメリカ企業の出願が非常に多いのが特徴です。

 (2)通常の出願の場合、アセアンにおける権利化までに要する期間が非常に長いのが特徴です。特許ではタイ11年8カ月(壊滅的な長さです)、インドネシア4年9カ月(ここも壊滅的)、ベトナム5年11カ月(ここも壊滅的)、シンガポール2年5月(日本と変わらない、シンガポール特許庁は国際調査機関になる)だそうです。商標は1~2年です。

 (3)従いまして、アセアンにおいて早期権利化にはパテントハイウェイPPHの利用が必要です。一言でいうと、日本で特許になっていればその国でも特許を認めてくれる制度です。
 または、シンガポールに移行させてシンガポール特許庁で特許査定が出れば、それをそのままアセアン各国で援用する制度(ASPEC)があるので、早期権利化が必須な場合には、シンガポールに移行させてからタイ、インドネシアなどに移行させる手が有効です。
 最近知財界ではニュースとなっておりましたが、ベトナムでは、日本特許庁との間でPPH制度を開始しましたが、上限があり年100件までだそうで、本年度分は募集を開始してから1か月で100件になってしまったそうです。
 ベトナムでの権利化まで5年11カ月と聞けばうなづけます、、

 (4)あとは、重要な点としては、タイが2017年度末にはマドプロ、ハーグ協定に加入予定、ベトナムが2017年度末にハーグ協定に加入予定です。
 特にタイがマドプロに入るとなると、現地代理人を介さずに商標権が取れることも想定され、日本企業のタイでの商標権取得が非常に安くできる可能性が出てきました。非常に良いことではないでしょうか。

 蓑和田国際特許事務所 蓑和田 登

2017年07月14日