外国への意匠出願(ハーグ経由、多数国で意匠権が必要な場合)

 経済のグローバル化に伴い、優れたデザイン製品を海外展開する企業様が増加する一方、企業様が海外においてデザインの模倣品被害に遭うケースが報告されています。このようなデザインの模倣品に対抗するためには、その国において意匠権を取得しているか否かが非常に重要となります。

 ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく意匠の国際出願とは、WIPO(国際事務局)又は日本の特許庁を介した1つの出願で、複数の外国の締約国に同時に意匠出願した場合と同様の効果が得られる制度です。今までは、海外で意匠権を取得するためには、その国の官庁に現地代理人を介して個別に出願する方法しかありませんでした。しかしながら、2015年5月に日本でこの国際協定が発効されたため、この制度を利用することによって、各官庁へ個別に出願するのに比べて、手続きの簡素化や経費の削減を図ることができて、多数の外国においても速やかに意匠権を取得することが可能となりました。なお、ハーグ協定における手続きの流れはこちらをご参照ください。

 ハーグ協定の国際意匠出願を利用することによる利点は以下のようになります。

  • 1つの出願で複数国に出願できる

    願書において締約国を指定することで、1の出願で各締約国に出願したものとして扱われます。このため、各締約国毎に出願手続きをする必要性がなく、出願費用を大幅に削減することができます。また、各締約国から拒絶通報(拒絶理由の通知)がない場合には現地代理人を介さずにその締約国で意匠権が登録されるため、現地代理人費用が発生せず、費用を大幅に削減することができます。なお、2017年現在ハーグ協定のジュネーブ改正協定には日本、欧州連合(EU)、米国などを含む49の国が加盟しています。

  • 意匠権の更新管理が容易

    5年ごとの権利更新や国際登録の変更(所有権の変更、名称変更など)に係る各種申請は全てWIPOに対する1の手続で済み、各国に直接手続する必要がありません。従って、国際意匠登録においては更新時の手続が極めて簡単です。

  • 1つの国際出願に最大100の意匠を含むことができます(国際意匠分類が同じ類の場合)

    日本の意匠出願では一意匠一出願の原則がございますが、国際出願の場合には多数の意匠を一の出願に含めることが可能です。また、その際の費用に関しても2意匠目以降、意匠ごとに19CHFのみで済み、複数意匠をまとめて出願しても費用が相対的に上がるものではありません。

  • 費用を大幅に削減できる

    各国の現地代理人を介して、それぞれの指定国において直接出願を行うことにより意匠権を取得することもできますが、この場合には当然に高額の現地代理人費用が発生します。国際意匠出願では、海外の代理人を介さずに国際出願することが可能です(但し、海外で拒絶の通報がなされ応答する場合には、その国の代理人を選任する必要があります)。また、国際登録簿への記録及び国際意匠公報の発行に必要な翻訳は全てWIPOで作成されますので、翻訳費用は発生しません。

  • 遅滞の無い審査

    各指定国官庁は、拒絶理由を発見した場合、国際公表から6月又は12月(各国が選択できる)以内にWIPOに対して拒絶の通報を送付しなければなりません。従って、各国における登録の可否の分かる時期が非常に明確です。

ハーグ出願の費用に関して

 国際意匠出願をする場合の費用としては、WIPO(国際事務局)や特許庁に支払う公的費用と、日本の弁理士費用が発生します。

 主な公的費用としては、国際事務局WIPOに支払う基本手数料(1意匠目397スイスフラン(CHF)、1意匠目以降、意匠ごとに19CHF)、公表手数料17CHF(公表される複製物ごと、(書面で複製物を提出する場合)複製物を記載した書面の2ページ目以降、追加ページごとに150CHF)、指定手数料の①標準指定手数料(個別指定手数料の受領を宣言していない締約国等を指定した場合)例えば等級1なら1意匠目42CHF、②個別指定手数料(個別指定手数料の受領を宣言している締約国等を指定した場合)例えば欧州連合は意匠ごとに67CHF、米国は国際出願時に733CHF(small entityなら367CHF)などです。また、日本特許庁を介する場合には送付手数料¥3,500が発生します(※2017年4月現在1CHFは約110円です)。

  • 国際意匠出願の弊所弁理士報酬
      1意匠の場合 備考
    1ヵ国 70,000円 2意匠目以降は、¥5,000/1意匠の追加料金が発生します。また、新たな図面作成料は¥3,000/1図です。図面データ、写真をご提供頂ける場合には¥1,000/1図です。
    2ヵ国 80,000円 このように移行国が増えるごとに¥10,000円ずつ増加します。

    ※以下、同様に国数、意匠数が増えるごとに増額します。

  • (例)ハーグ出願で2カ国(指定国:アメリカ、欧州連合)、一意匠で出願した場合の費用概算
      費用
    WIPO基本手数料 43,670円(397CHF)
    公表手数料 56,870円(3Pの場合)(17CHF(公表される複製物ごと)、複製物を記載した書面の2ページ目以降、追加ページごとに150CHF)
    日本特許庁印紙代 3,500円
    EU指定手数料 7,370円(意匠ごとに67CHF)
    米国指定手数料 80,630円(通常733CHF、小規模事業体367CHF)
    弊所手数料 80,000円+税
    合計 276,040円

    ※上記計算は1CHF=110円(2017.4現在)として計算しております。 
    ※上記はあくまで例示です。意匠の数、図面数、指定国数、指定国の種類などによって費用の計算が必要です。

 

 なお、ハーグ出願においては、国際事務局から各指定国に通報があった後に各指定国毎に意匠出願が審査されます。そして、各指定国毎において拒絶理由があった場合には拒絶の通報がなされます。この場合には、指定国現地代理人を選定して、拒絶を解消するための手続を開始する必要がありますので現地代理人費用が発生してきます。この点、ご留意ください。また、以下に、出願後に発生する可能性のある主な費用を例示します。ご参照ください。

  • 拒絶通報を受けた場合の現地代理人費用 実費
  • 拒絶通報を受けた場合(中間手続)の弊所作業手数料 1~3万円(作業量による)
  • 海外への送金手数料 5,000円/毎
  • 意匠権更新時の弊所手数料 30,000円
  • 意匠権更新時の官費 実費

中国意匠出願の制度及び弊所費用に関して

 中国ビジネスを展開し、且つデザインの模倣を防止したい、とお考えのお客様は中国意匠の取得は非常に重要な戦略の一つとなります。弊所がお客様の中国でのビジネス展開に意匠権取得の面から貢献出来たら非常に嬉しく思います。外国意匠を取得する際には是非弊所のリーズナブルなサービスをご活用ください。

  • 中国における意匠制度と日本の意匠制度との差異点に関して

    ・中国はハーグ協定に加入していません。従って、中国での意匠権が必要な場合には必ず現地代理人を介して中国庁に意匠出願をする必要性があります。要するに、現地代理人費用は必ず発生します。
    ・中国で意匠出願は実体審査がなく無審査で通ります。中国意匠の有効性の判断は評価書制度に基づいており、権利者のみが意匠権の有効性の判断を中国庁に請求できます。ここは実体審査を行う日本特許庁とのかなり大きな差異点かと思います。
    ・日本の部分意匠・秘密意匠に対応する制度は中国意匠制度にはございません。また、権利期間は10年(日本は20年)で日本の半分です。
    ・中国では、図面と少し違うだけでも権利侵害とならないケースがあり、その場合には類似意匠制度を利用することが有効です。様々な類似したバリエーションのデザインであれば、10個まで類似意匠として1つの出願に入れることができます(一方、日本は一意匠一出願制度です)。但し、その場合には図面が多くなると共に、代理人費用が増加します。

  • 中国意匠出願の費用に関して

    弊所は非常にリーズナブルな価格で、高品質のサービスを提供して頂ける非常に良い中国特許事務所と提携しております。中国での意匠権が必要なお客様は是非弊所サービスをご活用頂ければと思います。
     中国における費用サンプル(一意匠の場合)は以下となります。
    <一意匠の場合>
     現地代理人費用約4万円(官費500元含み)です。
     これに弊所基本費手数料(4.5万円、海外送金5千円)を合わせると、出願時に要する費用は一意匠の場合には、約9.5万円程度となります(図面数に応じて多少変動)。このように、弊所では約9.5万円(現地代理人費用込み)での中国意匠出願サービスを提供しております。
     ※日本出願に基づいて優先権を主張する場合には現地費用150ドルが発生します。
     ※類似意匠制度を利用して、類似したデザインを同時に提出する場合には、約1万円ずつ費用が増加します。

  • 中国意匠の登録時の費用

     設定登録がなされた場合の費用としては、意匠証書の交付、年金納付(官費約1万円/年)、意匠証書のご郵送を含んだ現地代理人費用は15,000円程度となり、弊所手数料は5千円です。
     ですので、一意匠の場合、下記のサンプルに示すように中国意匠権を取得するための出願時費用9.5万、登録までの総費用は約12万円になります。このように、他と比較して非常にリーズナブルな値段で中国意匠権を取得できます。

  • 一意匠の場合の費用サンプル
      現地代理人費用及び官費など 弊所手数料 総額
    出願時 40,000円(官費500元含み) 45,000円+海外送金手数料5,000円 約95,000円
    登録時 15,000円 5,000円 約20,000円

外国への直接意匠出願(1の外国で意匠権が必要な場合)

 意匠の権利化を希望する外国が少ない場合(1か国などの場合)には、外国の現地代理人を介して各国に直接出願することも可能です。また、この場合、日本の意匠出願日から6か月以内であれば、外国出願をする際にパリ条約等に基づく優先権を主張することにより、出願日が実際の出願日ではなく日本の出願日を基準に審査されます。これは、特に、権利化を希望する国が先願主義を採用する外国である場合には有効です。⇒この場合の手続の流れはこちらをご参照下さい。

 また、ハーグ協定に加盟していない国(中国、タイなど、2017.4現在)に出願する場合にも直接出願は有効です。さらに、各国の現地代理人を通じて出願をするので拒絶通報などが出た場合には現地での法律に基づいて適切な対応が期待できます。

 特に中国においては、模倣品排除のために早期に権利を得る必要性が生じる場合があり、その際には特許出願よりむしろ実用新案権又は意匠権の活用が有効となる場合がございます。但し、中国における意匠出願は日本の意匠出願制度とは大きく異なる点が多くあり注意が必要です。例えば、中国ではデザインが少し違うだけでも権利侵害と判断されないケースもあります。そういった場合には、中国では類似意匠制度(類似デザイン10件まで1件の出願として提出できる)を利用することが非常に有効です。⇒中国意匠制度及び弊所費用に関してはこちらのブログで詳細にまとめて記載しております。是非ご一読下さい。

 外国への直接出願の場合に発生する主な費用は以下の通りです。お客様より意匠権が必要な外国をご教示頂ければ、出願前に現地代理人費用をも含めた概算費用をご提示致します。その点はご安心ください。また、外国意匠出願の場合には、たとえ1か国であったとしても直接出願よりハーグ出願を利用した方がお安くなるケースがございます(拒絶通報がない場合にはハーグ協定では外国代理人費用が発生しないため)。弊所ではお客様に最も有効な制度で外国意匠権が取得できるようにご提案させて頂きます。外国意匠を取得する際には是非弊所のリーズナブルなサービスをご活用ください。

  • 弊所手数料 70,000円/国毎+図面代
  • 現地代理人費用 実費
  • 中間手続の弊所作業手数料 1~3万円(作業量による)
  • 海外への送金手数料 5,000円/毎