中国での商標被害の実態、及び弁理士として啓蒙が必要な件
(1)今月ですが、ある会社からご相談を受けました。
その会社は化粧品の会社なのですが、製品・効能が優れており日本での化粧品販売の調子が良く、そのために中国で実際に販売の開始を予定していたところ、勝手に自分の商標権がどこのだれか分からない中国の会社に先に登録されていて困っているとのことでした。
その商標自体は非常に特徴的なネーミングであり、たまたまネーミングと商品分野が同一だったとは考えられず、また、登録された中国商標の公報を見るとフォントも行間も同じで誰が見ても日本登録商標のコピー&ペーストでの出願という感じでした。
また、怪しいのが、その会社は、中国での商標登録を、全く知らない中国特許事務所からの突然の連絡で知った、とのことでした。
幸いというか、まだ公告日より三ヶ月が経過していないので商標の登録異議申し立てで対応することにしております。
中国で商標権を他人が持っているということはその日本の会社は当然にその商標権を中国では化粧品に使えないということですのでその会社にとっては大打撃です。世界の各国に販売する際に、中国の商品だけを別の商標名にすることは現実的ではないからです。
(2)また、中国では登録された商標取り消す・無効にするのは簡単なことではありません。
中国商標法31条違反とするには、
・他の者の商標が係争商標の出願日以前にすでに中国で使用されており、且つ一定の影響力があるが、登録出願はしていない。
・係争商標の出願人に悪意があった。
などを証明する必要があるからです。
当然、これから販売予定の商品の商標の場合、日本で著名だからと言って中国では著名ではない場合がほとんどであり、特に、大企業ではなく中小企業の場合には無効にすることに対して非常に高いハードルが出てきます。
また、中国での出願人の悪意なんていうもの簡単に証明できるものではありません。相手がとぼけてしまえばそれまでだからです。
(3)中国代理人に相談すると、そんなひどいことをするのか!、という反応は実際有りませんでした。そんな会社はたくさんある、彼らはそうゆうことを生きるためにビジネスでやっている、そんなに大切ならきちんと出願していない日本人が悪い、という反応です。そういわれればそうゆう主張もあるのかと思います。
(4)では対応策としてなにができるのか。
専門家としては、中国で販売をするかもしれない、と少しでも可能性があるのであれば、先手を打って直ぐにでも商標出願して権利化しておくことをお勧めいたします。というのも、中国商標は日本のように登録時に高額な登録料を請求せず、基本的には官費としては出願時に1区分300元(6,000円程度)支払えば10年の権利が得られるからです。
第三者に勝手に登録された商標権を取り消すのは本当に困難ですが(費用も時間も膨大に要します)、先手を打って自社商標を出願して権利化しておけばその可能性を全て排除できるからです。
弊所では中国商標の出願~登録までをトータル6万円程度で提供させて頂いております。もちろん弊所もビジネスでやっておはおりますが、御社の中国での事業展開に多大に貢献できるビジネス提案であると考えております。
当然、ラッキーにも全く真似をされないで中国商標の登録ができるケースも多々あるかと思います。しかしながら、日本で人気の出てきている商品を監視して、今か今かと商標出願を狙っている悪徳中国会社も実際にございます。なかには日本と中国の会社がグルになっている場合もあります。
ですので、専門家としては、販売意思が少しでも出てきた際に中国商標出願を軽視せず、躊躇せずに出願をした方が良い、という以外にはないかと思います。
弊所は、日本特許・意匠・商標のみではなく、国際特許・意匠・商標出願を非常に得意としておりますので、そのようなお客様がおられたら是非遠慮なくお声かけ下さい。相談は無料です。お待ちしております。
蓑和田国際特許事務所 蓑和田 登