ハーグ国際意匠出願の優先権証明書の提出の件(実務者向け)
昨日ハーグ国際意匠出願に関してUS庁からfiling receiptが届きましたので、ハーグ意匠国際出願をした場合の優先権証明書の提出に関して記載しておきます。
この点、実務者であっても非常に分かりにくい(非常に注意が必要な)制度となっているために、備忘録として残したく思い記載しました。
(1)日本意匠出願を基礎出願とした場合(いわゆる内外出願のケース)
ハーグ国際出願においては、日本出願の出願日から6か月以内であればパリ条約に基づく優先権の主張をすることができます。すなわち、同じ内容の意匠をハーグ出願とするときに日本出願の番号を記載することで、ハーグ出願の各国での審査の基準日が日本出願の出願日となります。
優先権主張は、日本出願の出願日後直ぐに意匠に係る商品を販売開始した場合などで、他の国での同じ意匠の権利が必要な場合などに有効です。
ここで、注意が必要なのは、US、ロシア、韓国を指定した場合には、優先権証明書を各国庁に提出する義務が生じます。ただし、韓国の指定に関しては、ハーグ出願時の願書のAnnex2の欄に必要書類を添付することで優先権証明書を韓国庁に提出したこととなるのでハーグ出願時に対応することが一番良いです。
特に、US指定した際には非常に注意が必要です。USへの優先権証明書の提出は、正確には2段階納付の2段階目の納付時までに提出しておく必要があります。すなわち、1段回目のハーグ意匠出願の出願時に現地代理人を介してUSPTOに提出しておくか、USでの審査が終了した設定登録後の登録料納付時までに優先権証明書をUSPTOに提出する必要があります。
USでの審査では拒絶も有り得ますので、より好ましくはUSPTOからの一回目の審査結果が届き次第、ハーグ国際出願で優先権主張をしている場合には現地代理人を介して、優先権証明書を提出することが一番良い手法かと思います(但し、必ず現地代理人を介するために手数料が発生します)。
(2)外国意匠出願を基礎出願として日本を指定した国際意匠出願の場合(外内出願のケース)
日本特許庁は意匠の国際出願に対して優先権証明書を要求しております。
典型的には、外国事務所から日本を指定国に含んだハーグ出願の依頼を受けたような場合、外国から優先権証明書の現物を取り寄せて、国際公表日から3カ月以内に日本特許庁に提出する必要性がございます。この点は、外国代理人に徹底して指示する必要性があります。
以上少々分けりにくい説明となりましたが、以上、ハーグ国際意匠出願の優先権証明書の提出に関する備忘録として残しておきます。
弊所は、日本特許・意匠・商標のみではなく、国際特許・意匠・商標出願を非常に得意としておりますので、そのようなお客様がおられたら是非遠慮なくお声かけ下さい。相談は無料です。お待ちしております。
蓑和田国際特許事務所 蓑和田 登