欧州の植物特許
先月の29日に、EPOのホームページでヨーロッパにおける植物特許の取り扱い変更が発表されました。
予測されていたことですが、やはり、ヨーロッパでは交配や選抜といった本来的な手法(an essentially biological breeding
processと記載)で得られた植物や動物には特許は認められないという決定でした。従来は、本来的な手法により発明された植物や動物であっても生産された物が特定されていれば特許を認めるという方針でした(いわゆるプロダクト・バイ・プロセスクレームは認められていた)が、今回の変更でその点が否定されることとなりました。
しかしながら、この決定も、将来的にはどうなるかわかりません。
というのも、本決定はさしあたってEPOの審査部において適用されるのみであって、second やfinalを担当する審判部(the boards of appeal)に持っていかれ、また、再度ひっくり返される可能性も十分にあります。というのも、欧州特許庁の審判部は、いわゆる、ブロッコリ事件やトマト事件の審決をしたところであり(植物のプロダクト・バイ・プロセスクレームを認めたところ)、彼らは基本的には本来的な手法(an
essentially biological breeding processと記載)で得られた植物であっても特許性は認められるというスタンスだからであり、そんなに直ぐに自らの認識を変えるとは考えられないからです。
要するに、さしあたっては、欧州特許庁においては交配や選抜といった本来的な手法の植物特許は否定されることとなりましたが、将来的には再度ひっくり返される可能性が十分にあるということでしょうか。
個人的には、このEPOの決定は将来的に再度ひっくり返されるとのではないかと考えております。というのも、現在の品種登録制度では植物知財権が適切に守れないからです。また、従来手法で得られた植物であっても、発明以上の価値があるものが多々あるからです(あいまいな言い方ですが)。
この点に関して現在欧州代理人と議論しております。また、欧州の植物特許の続きに関しては記載すると思います。
蓑和田国際特許事務所 蓑和田 登